愛犬元気!
加藤礼子


私は犬を飼っている。
精悍な体つきをした赤毛の犬だ。名前はオスカーと言う。
元気な鳴き声の、よい犬だ。
成犬であるオスカーは、既に大概のことは躾られている。
私を主人と認め、慕ってくるような薄青の瞳にみつめられ、私は微笑む。

自分の飼犬に対して言うのもなんだが、オスカーは賢い。
言いつけられた用件は、なんでもきちんとこなす。
光の守護聖の執務室に、オスカーをかたわらに伴うことが多くなっている。
執務について相談すると、内容を理解しているかのように鳴き声が変化する。オスカーと会話しているようでとても楽しく、私はよくオスカーに話しかける。
他人に見られないようにしなくてはな。

最近は、食事の席も一緒だ。
オスカーの席は私の隣の床の上だ。きちんと座り、私がよしと言うまでは決して食べ始めない。利口な犬なのだ。

オスカーは、私の顔をよく舐めたがる。
頭を撫でていると、ふいに顔を近づけてきてぺろりと舐めるのだ。
最初は気持ちが悪く、やめさせようと思ったのだが、オスカーからの親愛の表現なのだと思うとそれも不憫な気がした。
結局、私は跳びかかってくるオスカーに顔中を舐められることになる。慣れてきたのか、私もくすぐったいとは思うものの、気持ちが悪いとは思わなくなってきた。
可愛いものだ。

オスカーを伴って散策していると、クラヴィスに出くわした。
今日はなぜか、互いに言葉がきつくなる。
クラヴィスの一言に私がかっとなった時、オスカーは突然クラヴィスに吠えかかった。私が綱を引かなければ、オスカーはクラヴィスを害していたかもしれぬ。
飼い主同様、気性が荒いと言い残し、クラヴィスが退散する。まだ唸り続けているオスカーの頭を撫でて気を鎮めてやる。
私のオスカーは、番犬としても優秀だ。

今日はオスカーと遠乗りに出かけた。
馬と並んで走るオスカーを見て、なんと美しい生物だろうと改めて感嘆した。
赤毛を陽にきらめかせ、しなやかな体を思い切り走らせているオスカー。私はオスカーの飼い主であることを誇りに思う。
草原で馬を休め、私もその場に座って休息をとる。
オスカーがじゃれてくる。
私は笑いながら、オスカーの大きな体を受け止める。
草原に倒れ込んだ私の顔を舐めるオスカー。くすぐったいぞと言いながら、そのままにさせてやる。
この遠乗りをオスカーも気に入ったようだった。
また、行こう。オスカーと一緒に。

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