森の碧空
 

「おや」

濃い色の髪を肩の上で切りそろえたエキゾチックな美貌の青年は、猫のようにしなやかな身体を揺らして眼を見はった。
その表情は、面白いおもちゃを見つけた子供のそれと似ている。
目の前の草の上には長いローブが広がっていた。
ローブの端から白いつま先と金のサンダルが覗いている。
緑の草の上に、金の髪を散らして横たわっているのは、光の守護聖ジュリアスその人なのであった。

「休日とはいえ、こんな昼間にこんな場所で」
ジュリアスは、地面に身体を横たえて眠っている。
「ちょっと意外だったね」

地面に身を横たえることができるタイプの人間だとは思わなかった。
その意外さが、セイランの興味を惹いた。
深い森の中、そこだけ切り取られたかのような明るい日溜まり。
柔らかな緑の草が、自然の絨毯となってジュリアスの身体を受け止めている。
光を受けてきらきらと輝いている、長い金の髪が眩しい。

セイランは、足下に横たわる首座の守護聖を静かに観察した。
目を閉じたジュリアスは、驚くほど無防備な表情をしている。
「光の下では、本当に睫まで金色なんだね」
ひとつひとつ確かめるように、ゆっくりとジュリアスの身体を眺めていく。
ややあって、その奇跡的な造形美に、軽い溜息をついた。

「外見の美しさに意味はない。この人ほどそれを体現している人を他に知らない」
こうして眠っていれば、ただ美しいオブジェとしての意味合ぐらいは持とう。
しかし一旦目を覚ませば、現実のしがらみにとらわれてがんじがらめの、魂の入れ物でしかなくなるのだ。
「ぼくの自説が正しいと証明されたようなものさ」
そう呟いて、猫のようにクスリと笑った。